戸田小浜〜鈩崎ツーリング

2004.4.10
ソロでツーリングをするときに考えていること
 いつかはソロで海にカヤックで繰り出そうと思っていたが、なかなかその機会に恵まれなかった。
 ソロというのは、相当な覚悟と安全についての知識をしっかりと持っていないと命とりになる。海で危険なのは、大きく二つあり、溺れることと、ハイポサーミヤ(低体温症)になることと考える。溺れることについては、波があまりない時を選ぶということと、ライフジャケットをしっかり身に着けておくということで、危険は随分少なくなるように思う。また、あまり、沖に出ないで万が一転覆したときにでも、泳いで岸に戻ることができるところをツーリングするといったことが考えられる。特にビギナーは海岸線に沿ったツーリングから徐々に範囲を広げていくようにすれば自分の実力を確認しながら行動範囲を広げることができると思われる。
 さて、ハイポサーミヤであるが、これについてはカヤックを始める前はほとんど聞いたことがなく、海の危険=溺れるということしか思いつかなかった。しかし、油谷湾でのツーリングに参加したとき、講習で内田正洋氏や洲澤育範氏からハイポサーミヤについてその怖さを知らされた。ハイポサーミヤとは転覆したときに海の水温で体温がどんどん下がり、最後には死に至るというものだ。しかし、このハイポサーミヤの危険を遠ざけてくれる力強いグッズがある。ウェットスーツである。ウェットスーツの威力は相当で、厳寒の冬の日本海でもサーファーたちはこのウェットスーツを着て海に入っている。これを着るか着ないかではハイポサーミヤの危険性は大きく違う。実際私も初めてのカヤックを3月の海でしたとき、沈を経験したのであるが、ウェットスーツの部分は冷たさはほとんど感じなかった。ただ、表に出ている頭や手はジンジンするほど冷たかった。以上のことから、カヤックをするときには必ずウェットスーツを着るようにしている。また、ウェットスーツは厚みもあり、怪我の防止などにも有効なものでもある。カヤックをするにはライフジャケットと同様に命を守るグッズとして必要である。
 また、沈をした時に再乗艇ができる技術をマスターしているということもソロのカヤックをするには必要なことだと思う。私も講習で、再乗艇の練習をして沈をした時に、後ろから馬乗りになって再乗艇する方法や、パドルフロートで再乗艇する方法、エスキモーロールで沈から復活する方法などを習った。
 直接ツーリングには関係ないことを書いてきたが、何も考えていないように見える私でも、ソロでツーリングをするときには、細心の注意を払いながら実施しているということなのだ。当たり前だが命は落としたくない。あっそれとついでに必ずカヤックをするときに持っている安全グッズを紹介。
ビジルポンプ・・・艇に水が入ったときや、沈をして再乗艇したときに水を出すときに使うもの。結構な威力がある。


パドルフロート・・・・沈をした時にパドルにつけて空気を入れ、再乗艇をするときに利用するもの。

戸田小浜〜鈩崎(たたらがさき)ツーリング
 春の海・・・とてもおだやかである。ヤフーの天気予報でも今日は終日快晴で波も1メートルとおだやか。前々から海に繰り出してみたいと思っていた私は、それを決行することにした。
 昼前に準備をしてスタートは12時前という時間になる。戸田小浜からスタートすることにしたのは、海岸線や海が綺麗なことで有名だからだ。有名と言っても知る人ぞ知るという場所なのだ。私もネットサーフィンをしていて偶然知ったのであるが、それはなんと、日本画家の巨匠・東山魁夷画伯が皇居新宮殿壁画として描いた朝明けの潮」(宮内庁HP)の波の表現のヒントにした場所が、ここ戸田小浜なのである。宮内庁のHPにはそのことは紹介されていないが、本人著の『唐招提寺への道』(1975年4月、新潮社刊)の中で、戸田小浜をヒントにしたということが記されているそうである。驚きの事実「へえ〜・へえ〜」《詳しくは山根美神館ホームページ「いわみと長門の心と像」H》

 さて、個人的にも、ここ戸田小浜には思い出がある。小学生のころ、地区の子供会で海水浴に来たことがある。この浜で石をもぐって拾うという遊びをしていて、見つけた喜びで、おもいっきり「あったー」といって飛び跳ねたら、ちょうど覗き込んでいた親友のS君の顔に後頭部がぶつかったのだ。悪いことにS君はガラス製の一眼眼鏡をつけていて、そのガラスが割れて、S君の額にガラスがささったという本当に申し訳ない思い出がある地なのだ。S君覚えてる?本当にごめんねえ。
 そしてもう一つ・・・休憩所として、この浜の少し上に「ダーチャ匹見」という建物があるが(今はもう営業していない)そこには自動ドアがあった。当時私は自動ドアがとても珍しく、何度も、何度も開けたり閉めたりして遊んでいた。そうしたら、その自動ドアが壊れて閉じなくなってしまったのだ。子ども心に一瞬「いくら弁償しなければならないのだろう・・・・100万かな?200万かな?あ〜取り返しのつかないことをしてしまった〜」と思ったのを覚えている。母親に申し訳なさそうにそのことを言った。一瞬母も顔をこわばらせたような気がした。でも怒鳴られることなく、(あきれていたのかも・・・)フロントの人に言いに行ってくれ、フロントの人が何かのスイッチを入れると再び動きだした。そのときのほっとしたことを思い出す。そんな思い出の戸田小浜である。

 なかなか本題に入れないが、いよいよ本題。
 砂浜で中学生が部活動をしていた。陸上?あいさつをしてくれ、スタートからとてもいい気持ちになった。写真でもわかるように、本当におだやか。静かにスタートを切る。


今回のツーリングコース (画像リンクあり)

 防波堤を過ぎ、外の海に出ると、多少波があったが、カナールは安定していて、安心して漕ぐことができた。釣り人も数人見えた。私も以前何度かここで釣りをしたものだ。釣り人を海から眺めることになろうとはそのときには夢にも思っていなかった。
 ショウやカサネという磯釣り場の沖を進むころ、少し波が出てきた。前からの波なので、予測できるのでゆれを楽しむぐらいの気持ちで進んだ。ただ、漕ぐのをやめると、波に対して艇が平行になってしまうので、漕ぎ続けなければならず、腕が疲れた。
 以前親子サイクリングで田万川に行ったときに、綺麗な海岸ということで、印象に残った場所(左2002.8.1撮影)に上陸してみることにした。最初の休憩場所である。ここは、車が下りる事ができない海岸で、人も細い道を通ってしか来ることができない場所なのだ。ほとんどプライベートビーチという感覚でゆっくりできる場所である。
 上の道から見ていたとおりとても綺麗な海岸でいい感じだった。穴の開いた岩もあり海水浴にもいいなあと思った。ここで、コンビニ弁当を食べ、ゆっくりした。横になって、少し転寝をした。気持ちいい。最高の贅沢かも?
 海岸自体は綺麗なのであるが、残念なことが・・・・島根県いや、日本海側の海岸はどこもこうだろうと思うが(以前加賀の海岸もそうだった)漂流物が多く打ち上げられているということだ。日本のゴミもあるが、圧倒的にハングル文字が書かれてあるゴミが多い。潮の流れの関係もあるかもしれないが、朝鮮半島から流れてきたものだ。向こうでも環境について学習しているはずなのだが・・・。しかし、日本のゴミもどこかの国に流れ着いている可能性もある。「人のふり見て我がふり直せ」のことわざのとおり、自然を愛するアウトドアマンとしては、ゴミについてもっと意識していかなくてはと思った。もちろん、教師としても子どもたちに環境のことをもっと教育していかなくてはと思った。
 ゴミが打ち上げられている以外は本当に綺麗な海岸。海水の透明度もある。人があまり入らないところなので、昔からの漂流物もそのままなのだろう。
 休憩も終わり、再びスタート。人形鼻という岬を通る。ここもやはり波があり、多少漕ぎにくかった。それでも、周りの景色を楽しみながら進むことができた。飯浦の漁港をすぎ、その先の海岸に上陸しようかとも思ったが、もう少し先にいくつか島があったので、きっとその中にいい感じの浜があるだろうと思い上陸せずに先へ進んだ。
 透明な海水なので、思わず水面の写真をとった。また、防水パックにデジカメを入れてあるので、水の中でも写真が撮れるはずなので、試しに撮ってみた。これがなかなか使える。
 小さな島と島の間を抜けて奥へ入っていく。そこには人は歩いても入れない小さな浜があった。カヤックなどを使ってしか入れない浜である。そこに上陸。2度目の休憩である。今まで何人の人がこの浜に上がったことがあるのだろうか?そんなことを考えると面白い。美しい浜に満足して何枚も写真を撮る。
 2度目の休憩を終え、再びスタート。今度は鈩崎に向かう。陸からではなかなか近寄れない岬だ。ここの断崖には地層のような模様があり、江崎のホルンヘルスのようだ。
 腕も相当疲れてきていたし、岬のところは来るときもそうであったが、波もある。そこで、この鈩崎で今日のツーリングは引き返すことにした。帰りは、休憩なしで、最短コースを進む。来るときには2回休憩した場所をノンストップで行くのである。結構ハードだった。特に岬の部分はうねりがあった。今度は後ろからのうねりということで、予測がつかず、船酔いのようになった。まあ、それでもカヤック自体は安定していて、ひっくり返る感じは全くしなかった。波にさからわず、乗っているからなのであろう。
 再び、戸田小浜の海岸が見えてきた。やはりここはおだやかだった。
 初のソロシーカヤック。人が普段は入れない浜などを見つけ、とっても贅沢な1日になった。
また、条件が整ったときにシーカヤックをしてみようと思う。
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