宮島一周ツーリング

いよいよ宮島一周ツアー
 朝5時前に目を覚まし、早速、準備。こういうことになると、絶対起きる。普段は朝が弱いのであるが、こういうことは別。家を出発したのが5時20分だった。ちょっと遅くなったかな?と心配していたが、辺りはまだ暗く、車もほとんど通っていない道を快適にドライブ。思った以上に新岩国のところまで早く進む。しかし、用心のため、高速道で、大野まで行くことにした。岩国大竹間が高速を使うのと、一般道を使うのでは随分違うのである。結局パドルパークに到着したのは、7時ごろで、ちょうどいい時間になった。着いたらすぐに、お店の方が出てきて、挨拶。百田さんという見た感じ30前後(間違っていたらごめんなさい)で感じのいい方である。


パドルパーク到着!

 早速、フォールディングカヤックの組み立てに入る。ウッド製というところがめずらしいらしく、百田さんも、いろいろ質問をしてきた。値段を言うとびっくりしていた。やはり、お買い得の物件だったようだ。 

リジットカヤックと並んだ我が愛艇カナール416
 組み立てもスムーズに終わり、着替えをして、ショップの中を見せてもらった。小さいお店であるが、カヤック関係のものばかりで、とても興味深く見ることができた。その中にアクアパックというものがあった。値段は2400円でおてごろなのだが、これがなかなかの優れもの。デジカメなど、このパックに入れておけば水中でも撮影ができるようになるのである。水中カメラはあるものの、デジカメの手軽さのまま、水にぬれても撮影できるという魅力の方が勝り、すぐに購入。ただ、私のカメラは、電源を入れるとレンズが飛び出すタイプなので、レンズが出る時に圧力がかかると、すぐにレンズが引っ込んでしまい電源が切れるという弱点がある。電源を入れて、完全にレンズが出てしまえば、その後は少々圧力がかかっても大丈夫なので、その点だけ気をつけて使用しなければならない。今回はアクアパックとデジカメをしっかり使用することにした。(このツーリングレポートの写真は全てデジカメ)
 その後、今日の簡単なミーティングを行い、本日のコースの確認をした。いよいよ出発、お店の近くの港まで、カヤックを運び、そこから出港である。


いよいよカナール416進水!


これが海の上で撮った最初の1枚

 私が、最初に出ることになった。初めてカナール416に乗り込む。感激の瞬間である。
 すぐに港と瀬戸内海とを結んでいる道の下の水道を抜ける。満潮に近づいてきたため、通れなくなる心配があるというのだ。道路の下を通るとき、確かに天井がすぐ近くまでせまり、おじぎをした状態で海に出た。
 海面は、とてもおだやかで、湖のようである。私の艇を含めて、全部で8艇が出てくるまで、少々時間がかかった。その間、近くの海面を漂ってカナール416の乗り心地を味わっていた。思ったより、しっかりしたつくりで、フォールディングカヤックに描いていたもろそうなイメージとは違っていた。安定感もある。なかなかいい感じである。
 8艇がそろったところで、いよいよ対岸の宮島へ向けてスタートした。いままで何度もフェリーで渡ったことがあるが、その時には、こうして、自分のカヤックで渡る時が来ようとは思ってもいなかった。そう思うと、人間何に興味を示すか、そのときになってみないとわからないと言える。私も、野田知佑の本と出合わなかったら、こうして、カヤックに乗ることもなかっただろうなあと思う。
 さて、対岸は、見ると近くにあるようであるが、漕ぐと結構遠く、なかなか近づいて来ない。それでも、先頭集団について、カナール416も進んでいく。この時点では、フォールディングカヤックは遅いという情報は本当かなあ?などと疑いも出てきた。それは私より遅いリジットカヤックも結構いたからである。この時点では・・・・。


気持ちよく、宮島へ向けてスタート

 出発して、40分。ついに、宮島の大鳥居の近くまで来た。こうして、海からカヤックに乗ってこの鳥居を見たり、くぐったりするのである。なんと贅沢なことだろう、こんな経験なかなかできないぞ〜とうれしくなる。観光客からも、視線を浴びている。本当は、厳島神社の近くまで、行きたかったのであるが、あまり近づくと怒られるということなので、鳥居近くの海までで、それ以上近寄らなかった。
 厳島神社に向かって、カナール416の処女航海の安全祈願と今後行うであろうツーリングの安全祈願をした。
 こうして、宮島厳島神社の鳥居を見たり、くぐったりすることができ、大満足。すごーく得した気分になった。


  ここで、しばらく厳島神社の雰囲気を楽しむ。大阪からきた団体も楽しそうに鳥居の間を行ったりきたりしていた。その後、フェリー乗り場方面へ向かう。ここは、フェリーが頻繁に発着しているので、外側は通ってはいけないらしく、フェリーから降りてきた人たちが宮島へと進んでいく、桟橋の下を潜り抜けるというのである。これこそ、人々の間を通るパレードのような感覚。注目を集めつつ桟橋の下を通る。ここも、満潮に近く、天井まですれすれだった。

桟橋の下を潜り抜ける
 その後、宮島でも行ったことがない方向へ進む。なかなか快適に進む。カナール416は水漏れもなく、安定感もあり気持ちいい。ところどころ、小さい小さい穴のようなものが、岩に開いているところを通ったあたりから、少しずつ風が出てきた。それでも、最初の休憩地点には2番目か、3番目に到着した。ここでトイレ休憩である。砂浜にあるカナール416は絵になる。


少し風が出てきた

最初の休憩場所で

 ウォーターパックでのデジカメ撮影もなかなかいい感じだったが、少し汚れて来た感じがしたので、カメラを出して、ビニール部分をタオルで拭いた。これがいけなかった。水滴が中に入ってしまったのだ。 その後再出発してから、くもってしまって、うまい具合に撮影ができなくなった。途中、あきらめて、撮影の時にはパックから取り出して撮影するようにした。撮影が終わったら再びパックへしまうというようにした。こうした動作をしている間はパドルを動かすことができないので、撮影の度に少しずつ遅れることとなる。また、逆風も更に強くなり、漕いでも漕いでも前の艇に追いつかない感じがしてきた。それでも百田さんの艇と同じペースでなんとか着いていった。百田さんは、宮島のいろいろなところを解説してくれながら進んでくれた。その中の一つ、第二次大戦の時の要塞あとがあるところを教えてくれた。しまなみ海道の来島大橋の近くの小島の要塞のように完全な形ではないが、それらしきものを確認できた。

要塞跡
 それから、随分と漕いだ気がした。先頭集団ははるか先、点のように見える。ここにきて、リジット艇とファルト艇の違いを感じることとなる。同じようにパドルを動かしているのであるが、リジット艇に徐々に徐々に引き離されていくのが分かった。
 出発して、3時間近く過ぎたごろ、昼食のために上陸した。ここの浜はとてもきれいで、カヤックのためのプライベートビーチのよう。百田さんが、ちょっと先を指差して、あそこから中に入るときれいな湖があるということを教えてくれた。正直言って、なかなか進まないカヤックを必死になって漕いできたので、見に行きたいという気持ちよりも休みたいという気持ちが強かったのであるが、せっかく教えてくれたのだから、と気力を振り絞って行ってみた。すると、入口が少々狭く、岩にガリガリと・・・・・ああやってしまった。もしかしたら、エアがぬけるかも?と心配したが、無事だった。後で見てみたらそれほどのことはなく、安心した。そんなことがありながらも、湖に入っていくと、そこはとてもきれいな水で、底が見える。いい雰囲気の場所だった。疲れてはいたが、来たかいがあった。


きれいな湖に続いている

 その湖を後にして、待望の休憩。腕や腰が相当疲れているのが分かる。上陸して新艇と一緒にパチリ。

カナール416と。それにしても綺麗な海岸
 前回6月の油谷の時には昼食が無かったのであるが、今回のツアーは昼食つきということが明記してあったので、安心。上陸してダッチオーブンなども出てきて、料理が始まった。カレーリゾットである。それに野菜サラダ。ヨーグルトとフルーツのデザート。パーコレーターで入れてくれたコーヒーと豪華な昼食である。出来上がるまでの時間は、大阪から来られた方々といろいろお話した。いつもは川を下っている人たちで、今回初めてシーカヤックをされるということだった。川といってもホワイトウォーターを下るというこで、テクニック的にはそうとうな腕前のように感じた。よくよく話を聞いてみると、なんと、アウトドアメーカーのモンベル社の方が3名おられたのだ。その中のみっちゃんと呼ばれている女性をどこかで見たような気がして、見ると、みっちゃんも私をどこかで見たことがあるって感じになった。そう、昨年内田正洋氏と一緒に油谷でシーカヤックをしたが、そのときに一緒だったのだ。偶然ではあるがこうしてシーカヤックのツアーで2度ご一緒するとはとても不思議な感じがした。
 また、この団体の中にカナダ人のブラッドさんがいた。彼は、ALTとして3年間日本にいて、昨年カナダに帰った人で、今回休暇を利用して再び日本に来たということだった。日本でカヤックをはじめ、結構はまっているらしい。明日から今度は自転車で九州一周をするということだった。気が合いそうで、お友だちになりたいなあと思った。日本語もとても上手だった。
 そうこうしているうちにリゾットができあがった。多少シンがあるところもあったが、味はとてもいい感じに仕上がっていておいしかった。3ばいもおかわりをしてしまった。お腹もいっぱいになったところで、ぽかぽか陽気の中、横になった。とても気持ちがよく、少しうとうとした。


楽しいランチタイム!

 後半戦スタートである。今度こそ、遅れないようにしようと気合を入れてのスタートだった。最初はまだ、私より後ろにリジット艇が3艇ぐらいいたので、その時はわりと安心して進むことができたのであるが、途中からその3艇にも抜かされ、最後尾になってしまった。今度は、完全なソロツーリング状態になった。前にカヤックが見えなくなるぐらい遅れてしまったのだ。


完全ソロツーリング状態

 ここまで、離されると、結構開き直れるというか、案外気が楽になった。自分のペースでしか漕げないのだと自分を納得させ、まあ、いつかは着くだろうという感じで進んだ。ソロツーリングの予行練習みたいなものだと前向きに考えた。時々大きなうねりが起こったが、ひっくり返る感じはなく、面白かった。安定感はある。
 しかし、これだけスピードが違うとやはり、フォールディングカヤックとリジットカヤックが同じツーリングをするのはどうかな?と思えてきた。これが、全員フォールディングなら、ペースも同じになるので、いいと思うが、今回のように離れては、先に行った人も待つことになるし、遅れた人も申し訳なさと、必死になって漕がなくてはいけないので、その分疲労すると思われるからだ。
 随分ソロツーリング状態が続いたが、後半百田さんの艇が待っていてくれ、その艇と一緒に帰ることにした。しかし、その艇にもいつの間にか遅れをとる。え〜ん。もう腕と腰がパンパンでめげそうだ。
 それでも漕ぐしかない。途中百田さんが、店のパドルを使わせてくれた。普通よりも短くしたそうで、取り扱いが楽な感じがした。値段を聞いてびっくり、なんと36000円だそうだ。パドルの世界も奥が深い。ちなみに私が使っていたパドルはモンベルの5800円のやつである。これも、結構扱いやすかったが、少々長いので、力がいるということが分かった。
 宮島をぐるっと一周して来て、もう少しで出発したところという辺りは、牡蠣の養殖のためのイカダがいくつもいくつも浮かんでいた。本当は写真を撮りたかったのであるが、みんなが待っているので、それどころではなく、必死になって漕いだ。
 結局4時すぎに到着。潮は引いていて、港までは入ることができず、道の手前から、抱えて店までもどった。
 まじで、疲れた。しかし、フォールディングカヤックの宿命。片付けがまっている。重いからだを引きづるようにして、片付けていたら、世界遺産ツアーの団体の方が来て、えらく、カナール416のことを「美しい艇だ」とほめてくれた。はやり、ウッドというのがいいらしい。疲れた体と、フォールディングカヤックの遅さに少々ブルーになりかけていた私の心も、この方たちのお褒めの言葉で急に明るくなる感じがした。単純な私である。
 ショップの方と大阪から来た方に挨拶をして帰路についた。一人でツアーに参加すると、初シーカヤックの時も思ったが、ほかの方との交流という点ではとてもいい。

 いろいろ考えることができたツアーだった。カナール416の性能もよく分かった。長所、短所を考えて今後のツーリングを計画していきたい。
カヌー・カヤックTOPへ      ツアー前日まで      高津川ミニツーリングへ