10月9日(月)

 今日は、1週間いたチャスターの町を離れる日である。さすがに同じ町にずっと宿泊していると町の様子も把握して、どこに何があるかなども分かり愛着を感じるもので、少し離れがたい気分になった。町の雰囲気もとても素敵でよかった。
 ホテルの朝食について書いてみたい。同じホテルということで、バイキング形式ではあるがそこに出される内容は毎日同じだった。当然日本食はないので毎日パンや脂っこいソーセージやベーコンなどだった。最初は貧乏性のため、出ているものをほとんど全部の種類食べていたが、こう何日も同じ物となると、さすがにあきてきて、あっさりしたものが食べたくなった。添乗員の井上さんは最初から、シリアルコーンに牛乳をかけたものだけを食べて、最初ごろは「それだけですか?」と聞いていたが後半その意味が体でわかったような気がした。私もあっさりした朝食をとろうと考え、井上さんと同じようにシリアルコーンに牛乳をかけて食べてみた。おやつのような感じではあるがこれが案外あっさりとしていて脂っこいものを多く食べている環境ではとてもよかった。その日から私の朝食はシリアルコーンがメインになった。どのホテルでもそうであるが、生野菜がほとんどなかったのには驚いた。日本のバイキング形式の朝食には必ず生野菜があり、サラダを作ってたべるのだがイギリスのそれには、生野菜がなかった。その代わりなのかもしれないが、どこにもオレンジやグレープフルーツの皮をとったものが大きな皿に入っていた。これにヨーグルトをかけて食べるというスタイルであった。繊維質を取ると言う意味で生野菜の変わりになっていると思う。これがとても気に入って毎日たくさん食べた。
 さて、朝食の話はこれくらいにして、次に私にとってこの研修最大の失敗についてお話したいと思う。

 私は、今回、イギリスの様子を安田小学校にメールで送ろうと思いパソコンや、デジタルカメラを持ってきていた。しかし、インターネットのプロバイダーが石見インターネットなので島根県にしかなく、イギリスからメールを送ろうとすると国際電話ということになって、インターネットの利点を使えない状態だったわけである。そこでインターネットカフェを見つけてそこから発信することを考えていた。エジンバラでは見つからなかったが、ここチェスターには近くにインターネットカフェがあり何回もよった。しかし、ここで問題が発生した。日本語のフォントが入っておらず、日本語でメールを書くことができなかったのだ。(読むことはできた?なぜ?)それともう一つ大きな問題があった。写真を添付する方法がなかったのだ。これは、フロッピーに入れて画像を添付すればいいだろうと思ったのだが、インターネットカフェではフロッピーを入れるところが無く、それをすることはできなかった。たぶんウイルス予防のためだろうけれども、これでは予定していたメールを日本に送ることが出来なかった。そこで、しかたがないが、一度は写真付きのメールを日本に送りたいと考えていたので、少々値段が高くついても国際電話で自分のプロバイダー経由でホテルから送ろうと思ったのである。幸い同行の灘さんもパソコンを持ってきていて、日本の電話線とイギリスの電話線を結ぶアタッチメントを持ってきていたのでそれを借りて自分の部屋から写真つきのメールを送ったのだった。しかし、しかしである。国際電話ということでモデムの機能は56Kバイトなのに10Kバイト程度しか機能せず、日本では30秒で送れるような写真付きメールが10分たっても送りきらず、15分20分とかかってしまった。国際電話ということで、値段も心配になるやら、途中できったらせっかく使った電話も無駄になるやらで、迷った末、結局送りきるまで待つことにした。20分ぐらいだったと思う。「あー最低でも5,6千円はかかるなあ」とショックを受けていた。でもまあ日本にいる人達におくれたのだからきっと喜んでもらえるだろうと気持ちを切り替えたのだった。しかし、それ以来恐ろしくてメールを送ることはやめた。ただ、インターネットカフェからローマ字打ちしたメールは送ることができたので何回か、ローマ字メールを打った。インターネットカフェは60分で2ポンドととても手軽で、途中で止めても、次回来た時には残りの時間できるというシステムになっていて利用しやすかった。鳥取県西部地震の情報もこのインターネットカフェから随分入手することができ、本当に便利だった。
 さて、いよいよこのホテルから出発するということでフロントに行き、電話代の請求を受けた。一瞬目が点になった。フロントの方も心なしか気の毒がっているようにも見えた。なんと「130ポンド」日本円にして約21000円である。あのメール1通がな、な、なんと2万円!!!!。頭の中で万札がぐるぐるとまわった。ものすごい後悔の気持ちが噴出してきた。しかし、フロントではそのうろたえた気持ちを隠してすました顔で「OK」などといってトラベラーズチェックで支払った。でも、本当は心の中で「うそだろ!うそだろ!」と言いつづけていた。このことを同行の土井さんに話すと、大笑いをされ移動のバスの中でみんなに喋りまくられた。先日のカメラといい、今回の件といいここ2,3日災難が続いている。
 移動途中で、イギリス最大の劇作家、シェークスピアゆかりの地を訪れた。


10月8日へ

10月10日へ