油谷湾シーカヤックU

2003.6.28
 シーカヤックをいつかはやってみたいと、ずっと言っていたSB氏。インストラクターがいる体験ツーリングに行こうといっても、
「カヤックなんて、すぐにできるようになるでしょ。体験ツーリングより、カヤックを買って益田の海岸を我々の手で開拓しようや。」
という頼もしいとも、無謀ともとれる発言を飲み会の席ではよく言っていた。
 まあ、それでも一度くらいはインストラクターがついているツアーに参加してからでも遅くないからと、説得して、今回のツーリングに参加してもらうことにした。昨年の9月と今年の3月に一緒に行った、E氏もさそい、今回は3名で油谷湾のツーリングに申し込みをした。
 予定の6月28日。この日は天候は雨のち曇。風速も10メートルというあまりよくないコンディションでのツーリングである。ただ、前回の9月のツーリングでもそうとう雨が降ったが、このツアー自体は中止することなく行われたので、今回も行われるはずと思い、益田を7時に出発した。
 E氏のニューカーのプラドに乗って雨の中進む。途中の持ち石海岸を見ると波がすごい。この波を見て、SB氏がびびったようで
「おれ、途中の駅でおろしてもらってええけえ。」
という弱気な発言が・・・。
「湾になっとるけー、ここはこんなに波がたっていても、油谷はそれほどでもないはずじゃけー大丈夫。」
と私。
 ニューカーになったため、車内禁煙のおたっしがでたそうで、E氏のため時々コンビニにより、喫煙タイムをとりながら、油谷に到着。相変わらず雨はやみそうにない。それでも、艇庫の前にカヤックが並べられており、今日のツーリングに思いをはせて、わくわくしてくる。
 ここのチーフインストラクターの洲澤さんが我々を迎えてくれ、天候の様子を見てからツーリングをするかどうか決定しましょう。ということで、艇庫の中に入り、カヤックについての講義があった。今回は、風が強い中でのツーリングのコースのとり方。強い風が斜め後ろから吹いてくると、自分の意思とは逆に沖へ沖へと出て行くことがあるので気をつけてコースどりをするというような内容だった。また、潮の流れは結構強く、海に落ちたとき、これに逆らうように泳ぐとすぐに疲れておぼれてしまうので、この潮に乗ってなにもせずにある程度流されて、潮が戻ってくる場所があるので、そこを利用して岸にたどり着くようにするといいというような内容だった。低体温症の話、服装の話など、今回は、安全についてやったるで〜江角氏とのことが多かった。熱いコーヒーをのんだころ、雨が小降りになってきた。
 いよいよ本日のツーリング開始である。SB氏は、今回初ということで、ダンデム艇(二人乗り)にインストラクターの平田さんと乗り込むことにした。私とE氏はソロ艇。
 Tシャツだけでは寒いだろうということで、ここのスーツ(高そう)を貸してもらい、やっぱり格好からはいらにゃ〜とそのスーツを着て満面の笑顔のSB氏、3回目ということで割りと余裕の表情のE氏。
ツーリング いつものように、水の中でも撮影できる写るんですを持って来ていたので、ツーリング中、ところどころで撮影。今回は、自分撮りにも挑戦してみた。なかなかいい感じで写っている。前回は大雨の中であったが、今回は雨はそれほどでもないが風が強い。波も今回の方が高い。そんな中、洲澤さんについて進んでいく。
 途中で、昼食をとろうということで、前回と同じ浜に上陸した。ここで、問題発生浜で記念撮影。いつまでたっても食事の準備が始まらない。変だなあと思いながら待っていると、インストラクターの平田さんがおにぎりを食べ始めた。あれ?ひょっとしてと思い、恐る恐る昼食は持ってくるんでしたっけ?とたずねると・・・。なんと、このツアーは弁当持参ということだった。前回の油谷ツーリングではおいしいスパゲティが出たので今回も当然手作り昼食があると思っていたのに・・・・ショックである。一食ぐらい抜いても大丈夫なのであるが、あると思っていたものが無いと分かると急にブルーになる。そうそう、食べようと思っていた弁当がひっくりかえってしまったような感覚である。それでもって、今回は私が、「大丈夫、おいしい昼食を現地で作ってくれるから」と言っていた手前もあり、SB氏とE氏に申し訳ないという感覚も入り混じって本当にブルーになっていた。3名とも弁当を持っていっていなかったのである。そんなブルー3人組を気遣って、平田さんはクッキーを大量にくれ、洲澤さんは自分のおにぎりを差し出してくれた。「前回は出たのに・・・いるのならホームページに弁当持参って書いておいてよ〜」という感覚もあって、遠慮なくそのクッキーとおにぎりをいただいた。(洲澤さん、平田さん ありがとうございました) でも、1DAYツーリングならば、昼食付きにしてほしいなあ・・・というのも正直な感想でもある。浜で講習中
 昼食の後、これより先に進むことにして洲澤さんを先頭に岬を回る。多少波が高いということで、洲澤さんだけが、まずは先に偵察に行った。そのとき、白波が洲澤さんの艇に・・。岬を一つ越えると条件が変る。今まではそれほど危険を感じる波ではなかったのであるが、岬を越えると荒れているらしい。今回はこれより先に進むのを諦めようということになった。そこで、再び、さきほどの浜に上がり、基本レッスン。こぎ方、曲がり方、まわり方などの講習。SB氏もダンデム気持ちいいからソロに乗り換えていろいろやっていた。ダンデムと比べ安定が悪いソロ艇にびっくりしていた。
 講習の続きは帰りながらしようということになり、来たルートを逆に進む。背中から結構強い風を受けながらの艇の操作である。波も高く、午前中に講習があったような状況で操作しにくいなあと思っていたところ・・・・案の定、E艇が、沖へ沖へと出て行くではないか。午前中に講義を受けたとおりの艇の動きだ。と思っていたらなんと、高波でE艇が沈してしまった。わ〜やっちゃった!私が沈したのは静水だったが、ここは結構な波がある。心配である。
 洲澤さん、平田さんが救出に向かった。その間、私と野村さん(このツアーのもう1人の参加者)は動かずに港で無事でよかった待っておくようにと言われたので、心配しながら、E氏の救出劇を見ていた。これがなかなか簡単にはいかないようで、ダンデムの平田さんは一度SB氏を下ろしに岸につけ、再びE氏のもとへ出向く、その間洲澤さんは、E氏を自分の艇つかまらせていた。ダンデム艇にE氏が乗りなんとか救出成功。結構時間がかかった。海をあまく見てはいけないということをまざまざと感じた時間だった。
 無事?E氏がもどってきたところで、救出成功のパチリ。きっとこの時には江角氏は写真どころではなかっただろう。
サングラスではなくゴーグルだ! 全員が再び帰りながら講習を受ける。さっきの沈で講習の内容が最上艇の練習になった。いよいよゴーグルの出番である。私はコンタクトのため、沈からの最上艇の練習にはこれがいるので、今回も用心のために持ってきていた。
 E氏は、さっきの沈のショックから立ち直っていない様子であったが、洲澤さんの最上艇の練習の指令が出て、しぶしぶ挑戦していた。私は、どちらかというと、寒くなかったら、こういうことは好きなのでわくわくしながら最上艇の練習をした。一度大島で沈を経験しているし、和田さんにも教えてもらって沈をする瞬間(練習中)いたので、わりとすんなりとできた。最後にエスキモーロールの練習もさせてもらったが、大島以来なので、できるかどうか心配だったが、思ったより簡単にできた。とてもうれしくなった。ユーヤックという艇だが、安定があり、少しおきあがるとあとは、すーっと船自体がもとにもどっていくような感じだ。エスキモーロールができるととても気持ちがいい。E氏には悪いが、本当にいい気分で今回のツーリングを終えることができた。
 それぞれが、いろいろ貴重な経験をした今回のツーリング。カヤックの世界は最後に全員で!奥が深いというのを感じた。

 E氏は、帰りの車で、沈の恐怖をずっとしゃべり続けていた。相当怖かったのであろう。特に、助けに来てくれた人が冷静さを装っていたが、内心あせっている感じが伝わってきたのが怖かったと言っていた。
 カヤック初体験のSB氏は、目の前でE氏が沈していく様子を見たということで、これまた、恐怖を感じたようだ。飲み会の席の「インストラクターがおらんでも・・・」という発言を完全撤回することとなる。
 
 後日、洲澤さんからメールが届く。14年間のツアーで沈したのはE氏で3人目だということだった。
 これにこりずに、E氏、SB氏、またツアーにいきましょう。