10月11日(水)

 この日は最後の自由行動だった。自分の予定ではまだ、お土産を買わないといけなかったし、ロンドンの街を充分には堪能できていなかったのでとにかく一人で歩こうと思っていた。とはいっても最初はバスで何箇所かにおろしてもらうことになっていたので、エリザベス女王の住まいのバッキンガム宮殿に行くことにした。ここでバスを降りた人は7,8名だった。その中に土井さんもいた。降りた時に土井さんがすぐ近くの店でミネラルウォーターを買っていたので、待ってあげた。外の人は先に行ったのだが、とりあえずまつことにしていたら、土井さんがお礼にということで朝作ってきたおにぎりをご馳走してくれることになった。
 土井さんは日本からシングルバーナーを持ってきていて、いろいろなところで湯を沸かしたりコーヒーを沸かしたり、ホテルの部屋で焼肉をしたりするするアウトドアの達人なのである。土井さんはお米も日本から持参していて持って帰るのもばかばかしいので最後の日の今日昼食のためにとのこっていたお米をお握りにしていたのだった。
 バッキンガム宮殿の前の公園に入って早速昼食の準備にとりかかった。この公園はとても広くそして緑がとても美しい公園だった。近くのプライマリースクールから遠足のような感じで小学生がたくさん来ていた。また、公園を散歩している人達もたくさんいた。ロンドンという大都会の中でののどかな風景だった。昨夜土井さんとホテルの部屋で料理したものを斎藤さんにお裾分けしたお返しにビニールに入ったインスタントの味噌汁をもらっていたので、おにぎりと一緒に食べることにした。
 コーヒーカップにビニールから練り味噌を入れてお湯を沸かそうとしたが、日本ではそれほど感じなかったがイギリスに来て改めて味噌を見ると本当にあれそのものだということに気がついた。イギリスの人達がこの味噌を見るとどんなことを思うのだろうということが私が思ったが、ほぼ同時に土井さんもそのことを感じたらしくお互い大笑いしてしまった。イギリスの人が調理している近くを通るのでこれはなんとかしなければと思い土井さんが紙のナプキンをその上にのせ、お湯を沸かすことにした。その紙を見て再びもっとリアルになったと大笑いをしてしまった。実際イギリスの人は日本人はへんなものを食っとるぞという顔つきで通りすぎていったように感じたのは私だけだったのだろうか?


バッキンガム宮殿の前の公園で味噌汁とおにぎりを食べる

 そうこうしているうちにお湯がわき、味噌汁とお握りをバッキンガム宮殿の前の公園で食べた。本当においしかった。やはり日本人だなあと感じた。その時に思ったことは米は腹いっぱい食べても後で腹がはった感じがしないということだった。ここで味噌汁とお握りを食べた人はそういないだろうなあと思った。ひょっとしたら初めてかな?などと嬉しくなった。しかし、本当においしい昼食をいただき、土井氏には感謝、感謝である。


バッキンガム宮殿

 その後別々に行動することにして私はバッキンガム宮殿に行ってみた。エリザベス女王がいるというしるしの宮廷の旗がなびいていた。やはりここも豪華でスケールが大きかった。
 次に行ったところは、ハロッズというデパートである。ここはイギリスでも超有名なデパートということで期待をしていったのだが、確かに一流ブランドの店が入っていて見る人が見ればすばらしいのだろうが、私には目の保養ぐらいにしかならなかった。それよりもちょうどそこでトイレに行きたくなったのであるが、なんとデパートのトイレであるにもかかわらず有料トイレだった。入り口にはガードマンがいてたしかに高級そうではあったが、トイレにお金を払うという習慣の無い日本人の私にとってトイレをがまんするという選択をした。


ピカデリーのシンボル愛の天使前で

 次に目指したのはピカデリーサーカスという繁華街である。ここは、昨夜ミュージカルを見たあたりである。ここまで相当距離があったが、歩いてみることにした。ロンドンの街を歩くということもこれで最後かと思うと遠い距離もあまり苦にはならなかった。最後に昨夜はたくさんの人数で乗った地下鉄チューブに一人で乗ってみることにした。ホテルまでいくためには乗り換えをしなければならずややこしかったが、これも経験ということでチャレンジしてみた。途中、なんと外国人?いや私たちの方が外国人なのだが…に電車の行き先を尋ねられた。「∞○△※…?」何を言っているのかとっさには分からなかったので「ソーリー」というのが精一杯だった。時間を置いてそのときの状況とその時の言葉をもう一度よく考えてみると、「ウインブルドン?」と言っていたことが分かった。そう、「この列車はウインブルドン行きですか?」ということだったらしい。実際私が乗っていた電車はウインブルドン行きだったのだ。英語はむずかしいいなあ、なかなか聞き取れないなあと改めて思った。
 この夜は最後ということもあって全員でイギリスのフルコースを食べた。

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