10月4日(水)

 今朝の天気は、イギリスには珍しく太陽が降り注ぎ、いい天気であった。3つ目の訪問校

Tattenhall park primary school タッテンホールパーク小学校である。今日は6校に分かれて学校を訪れるために、貸し切りバス(コーチという)とミニバス2台それと、教育委員会のエドワードさんの自家用車に分かれて移動した。我々は(山中田中、井上、原、)は、エドワードさんの車に乗った。イギリスの道はどの道もわりと広くて整備されている。また、左側通行ということで日本の交通規則とほとんど同じ感じだった。本によると、日本の交通規則などはここイギリスを参考にして作られた経緯があり、左側通行だということである。エドワードさんはみかけによらず、スピード狂のようで、途中、おいおいというぐらいとばしていた。 
 タッテンホールパーク小学校につくと、まず目に飛び込んできたのは、芝生がしきつめられたグランドだった。昨日の小学校同様、大変美しく学校の校庭という感じがしなかった。
 ここの小学校も校長先生はパットさんという女の方だった。昨日のデバインさんとは違って迫力は感じなかったが、大変フレンドリーな方だった。丁度4年生が2泊3日の野外学習のため校長先生も出かけるということで、短い時間で学校の説明などをしてもらった。その時の話で印象に残ったのは、障害児と健状児が一緒に生活するための実験校ということで政府から予算がついたことと、学校の施設を地域に利用してもらう時の使用料がはいってきたので、先生を余計に雇うことができたということであった。予算については、学校に任されているということがよくわかった。先生を学校の予算で雇うということができるシステムに驚いた。また、地域の人の要望で学校の敷地に塀がないということを話された、それで、学校名もパークがつくということだった。
 パット校長先生に日本からのお土産を差し上げたら、習字に大変興味を示された。私が日本から筆ペンを持ってきていたので、どのように書くか見せてあげたら、自分の名前を書いてくれとお願いされた。パットと片仮名で書いてあげると大変喜んで自分でも書いていた。そのうちに日本にはひらがな、かたかな、漢字があるという話になって、その3つの言葉で名前を書いてほしいといわれた。ひらがな、かたかなまではよかったが、漢字でパットとなるとどうしようか迷ったが、みんなのアイデアで「波登」ということになった。筆ペンもプレゼントしてあげるととてもうれしそうだった。
 おいしいコーヒークッキーをいただき、その後、教室に行った。2人の子どもに学校を案内された。とっても賢そうな男の子と、ちょっとシャイな感じのする女の子だった。昨日の学校でもそうであったが、大変子どもが落ち着いて学習をしているという印象をもった。この2校では大声でどなったり、はしゃいだりする子の姿を見ることはなかった。とってもしっとりとしていていい雰囲気があった。
 この学校はイギリスでは珍しくプールがあるということで見せてもらったが、縦10メートル横5メートルぐらいの小さなものだった。しかし、温水プールになっていて、1年中水泳はあるそうである。全国共通テストの中に水泳の25メートルというのがあるそうであるが、泳げない子はどうするのかと質問をしたところ、専門の先生が水泳を教えにきてくれているが、その人が泳げるようになるまで教えてくれるということだった。ということは11歳では25メートル泳げるというのが100%とうことになる。

 最後に、案内してくれた男の子が算数をしていたので、その様子を見て、どのように計算しているのかたずねた。たとえば、326−95はどうするのかと聞いた。すると、筆算でするのかと思うと、まず、326−100をして226にする、そしてそれに5を足すという答えが返ってきた。筆算ではやらないらしい。次に掛け算123×53はどうするのか?と聞いたら、一瞬困った顔をして「カリュキレーター?」といった。「ノー」といって計算の仕方を話してもらった。すると100倍の12300にしてそれを半分の6150にする。また、123を3倍して369にして、6150と369を足すという答えが返ってきた。やはりここでも筆算は使わなかった。イギリスは筆算を使わないのかなあとおもっていたら、アドバイザーの方が筆算をされた。昔はこういうやり方でしたということだった。日本と形は同じだったが、最初に123×50の方をしてその後123×3をしていた。
 子どもたちと「バイバイ」をして学校を後にした。もう少し一緒に遊ぶなどの活動がしたかったなあと感じた。
 その後エドワードさんの車にのって、今度は教師のトレーニングセンターに行った。ここに、2000年を記念して各学校かあ美術の作品が集められ展示されていた。少し早めについたので、他の学校に訪問に行った人より一足お先に見学させてもらった。日本以外の国の子ども達の作品ということで、やはり色の感覚や、発想など今までにはないようなものが多かった。特に粘土を使ったレリーフには興味を感じた。日本に帰ったら子ども達にさせてみたいなあと感じた。

 その後、トレーニングセンターの職員の方にお話を聞いたが、どの部所の方も大変熱心で誇りをもって仕事にあたられている感じだった。特に印象に残ったのは、リーディングリカバリーという読み書きの遅い子のためのトレーニングについてだった。読み書きが遅いことを直すトレーニングをするのであるが、読み書きを早くするだけでなく、その子の自信を回復させることにも役立っているということだった。そうすることで、そのトレーニングを終えて普通の学級にもどったら他の子と同じように勉強ができ、遅れることがなくなるということであった。自信を回復させるというところが大きなポイントだと感じた。
 他に、トラベラーズのためのサポートをしている方の話も印象に残った。というより、トラベラーズがいるということに驚きを感じた。トラベラーズとはジプシーのことで、地方を転々としながらサーカスをしたり、移動遊園地をしたりして生活をしている人たちのことだそうである。この人たちは、年に20回も30回も場所を移動しているためにきちんとした教育をうけることができなかったそうである。そのために読み書きが不自由な人も多くいるということであった。そこで9年前にここのトレーニングセンターのリングウォーカーさんがジプシーのためのサポートを思い立ったそうである。その年には39人だった利用者が、今では年間400人にもなっているということである。
 午後の部の教師のためのトレーニングセンターの見学はほとんど立ちっぱなしで2時間半も話を聞いていたために、そうとう疲れてしまった。また、研修が始まって半ばにさしかかったということも手伝って、ぐったりされた方も多かった。そういう私もそうとうまいってしまった。

 夜は、校種別に分かれての会食だった。小学校班は、昨夜藤川さんに聞いていたイギリス料理を食べさせてくれる「ブルーベル」という店にいった。ディナーをたのんだ。スープ、ステーキ、アイスが出て、18.5ポンド日本円で3052円ということで、まあ、妥当な値段ではないかと思う。昨日、一昨日とマクドナルドで夕食をとった私にとって満足できるおいしさだった。

 明日は、いよいよ最後の学校訪問の日である。小学校ということなので、いままでできなかった、一緒に遊ぶということをしてみたい。

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